リノリウムフィニッシュ350/700

「リノリウム」といえば艦船の甲板はもちろん、
学校や病院など、日本国内で幅広く普及していた「床材」です。
しかし現在、国内におけるリノリウムの生産は終了しており
リノリウム風の塩ビシートが代替品となっています。
リノリウムの生産は、世界的にもヨーロッパに3社が残るのみです。

国内で最初にリノリウムの生産に成功し、大正11年(1922年)7月21日付で海軍省指定工場となっていた、東洋リノリユーム株式会社(現:東リ株式会社)にお話を伺わせていただき、具体的な色のわかる資料を探していただきましたが、残念ながら現存していませんでした。しかし、当時の資料となるリノリウムカタログを見せていただくことができ、新品状態のリノリウムとして参考にしています。
(資料:昭和7年11月刊行 近畿陸軍特別大演習記念 大阪案内記 国勢協会 編)


リノリウムカタログ(東リ株式会社)


◆リノリウムの色と質感の決定◆

リノリウム独特の質感と使用感を再現するには、実物を参考にしなければと考え、さらに調べを進めたところ、当時のリノリウムが現存し、その資料を基に忠実に保存修復工事が行われた山形県郷土館にお話を伺わせていただき、ご協力をいただくことができました。


公益財団法人 山形県生涯学習文化財団 山形県郷土館「文翔館」(旧県庁舎及び県会議事堂)


現存する当時のリノリウム。

現在施設の床に使用されているリノリウムとカラーチップを照合し、正確な色を特定することができました。リノリウムの質感は、現存していたリノリウムは破けた状態で、かえってその構造が理解でき、手入れが行き届いている状態と、経年変化した状態での色と質感が見て取れ、大変参考になりました。


リノリウムの色合わせには「関西ペイント」を使用しました。



「手入れが行き届いていると色が濃い」・・・それは、艦船で毎朝の甲板拭い掃除に「亜麻仁油」を使用して拭くためと考えられます。リノリウムはすり減ったり破損することも多く、大改装後の重巡洋艦の※写真を見ると、場所によって色が異なることがわかります。これらの資料を鑑ながら、試作品を模型に施工し、何度も試作を繰り返して色と質感を決めています。
※資料:高雄型重巡〈歴史群像〉太平洋戦史シリーズ (16) 鳥海主砲砲手が見た艦隊演習 より

◆戦艦長門の甲板に貼られていたリノリウム部分◆


▲注意: 市販されている艦船キットの真鍮押さえ金具の位置は、リノリウムフィニッシュと間隔が合わない場合があります。さらに凸線となっていることから、シートをそのまま貼っても馴染みません。甲板のモールドはあらかじめ削り取ってからご使用いただく必用があります。


◆リノリウムを固定していた「真鍮の押さえ金具」の再現◆

艦船で使用されたリノリウムは、艦内においては床材としてそのままでしたが、直射日光や、海水の影響の受ける甲板では、剥離を防ぐために真鍮の押さえ金具で固定していました。この幅は約30mmで、当時の写真でもその細さが確認できます。実寸で計算すると1/700で0.0428mm。1/350で0.0857mmとなり、これを正確に再現することはほぼ不可能です。


1/350 磯風

リノリウムの色と質感が良く、真鍮の押さえ金具のラインが、リアルに表現できています。

現在、艦船模型を作り込む方が「真鍮の押さえ金具」を再現する方法として、真鍮線の使用が主流です。しかし、一般に手に入る真鍮線の太さは0.2mmからで、切断する際に曲がってしまったり、瞬間接着剤を使用するなど扱いが難しく、段差が発生したり、平行に、正確に、取り付けるのは至難の業でした。

1/700 睦月

1/700でも真鍮の押さえ金具の細いラインが、きっちりと表現できています。

リノリウムフィニッシュは、「真鍮の押さえ金具」の表現として段差を抑え、手軽に等間隔で再現できるように、金色のラインがスケールに合わせて加工されています。また真鍮の押さえ金具は横だけではなく、主砲周りや甲板の中心など、取り囲むように押さえていることもあり、この再現には、「金色のラインのみ」をシートの端に用意しています。リノリウム色を塗装する場合でも、後から貼ることで、真鍮の押さえ金具の表現が可能です。精密に再現したい上級者や、塗装派の方にも安心してお使いいただけます。


TF920 リノリウムフィニッシュ350  TF921 リノリウムフィニッシュ700

リノリウムの質感、ツヤ感を再現した粘着シートです。シートの左右には「金色のラインのみ」を加工していますので、塗装する場合でも、真鍮の押さえ金具の表現が可能です。

※細長く切ったシートを施工する場合は、TF24アプリケーションシートの使用をお勧めします。
▲注意:施工したリノリウムフィニッシュからアプリケーションシートを剥がす際は、慎重にゆっくり行ってください。

※リノリウムフィニッシュの下地は、「艦艇色」で加工していますので、隠蔽力が高く安心です。

極薄で曲面に追従するシートは、多少の凹凸にも馴染ませることができ、貼るだけでリノリウムの表現が可能です。艦船模型を作り込む方にとって、「フィニッシュシリーズ」でのリノリウム再現を望まれていた皆様に、是非ご使用いただけたらと思います。

リノリウムフィニッシュは、大戦当時に使用されたリノリウム色と質感を忠実に再現し、
真鍮の押さえ金具を手軽に再現できるよう、金色のラインを加工した粘着シートです。


◆リノリウムフィニッシュは、他にも使い道があります◆

ミサイルの実弾用ライン

革のベルトやシートベルト

F-15キャノピーのフレーム
(下地がグレーだから便利)

ブラウン色と独特な風合いのシートは、現用機においてはF-15の「キャノピーのフレーム」やミサイルの実弾ラインに使用できたり、革製の「シートベルト」の表現など、マスキングすることなく手軽にブラウン色を表現でき、アイデア次第で多種多様にご使用いただけます。


TF920 リノリウムフィニッシュ350 【曲面追従艶消しシート】
本体価格 ¥1,200(+消費税)

TF921 リノリウムフィニッシュ700 【曲面追従艶消しシート】
本体価格 ¥1,200(+消費税)


第54回静岡ホビーショー情報

《業者商談会》 5月14日(木)・15日(金)
《一般公開日》 5月16日(土)・17日(日)

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